ref.::
1) https://qiita.com/Saito5656/items/5f369ba8a8d419e3cbff
2) https://synrock-tech.com/hardware/single_board/raspberry-pi-emulate-hdd/
1)
WindowsPCなどからUSBケーブル接続したラズパイにデータ転送する環境の構築手順の説明です。
- ラズパイのUSB On-The-Go(OTG)設定
- USB mass strage設定
- systemd設定
- microSDカードのROM化設定
相変わらず平日は時間が取れず週末に手を付けましたが、今回もしっかり嵌りポイントがあったので記録を残しておきたいと思います。
参考文献
こちらの記事を参考にしました御礼申し上げます。
- ラズパイを録画用HDDにエミュレートする
- RASPBERRY PI ZERO WをUSBメモリにする(パーティションを使用編)
- Raspberry Pi Zero W
- 保存したファイルのタイムスタンプ時刻が正しくない
環境
Raspberry Pi: Raspberry Pi 4 Model B Rev 1.2
OS: Raspberry Pi OS Lite 64-bit (Raspbian GNU/Linux 11 (bullseye))
microSDカード: 16GB、32GB各一枚ずつ
USBケーブル: usb-A <-> usb-c オスオス
クライアント機: DesktopPC(Windows11 Pro)
事前準備
こちらの記事等を参考にRaspberry Pi Imagerで起動用microSDカードを作成します。
構築手順
USBストレージ用記憶領域の確保
嵌りポイントその①です。初めに、USBストレージとして割り当てるボリュームを作る為に、microSDカードに空き領域を確保します。
邪道ですが手持ちのサイズ違いmicroSDカードを使って準備しました。
- Imagerで16GBカードに起動イメージを作る
- 16GBカードのimageで一度起動してupdateとupgradeする
- 16GBカードimageを保存して32GBのmicroSDカードに書き込む
記事の手順を使われる際は、普通にラズパイimageの入ったSDカードを圧縮してimage保存する等ご自分のやり易い方法で準備ください。
昨年まではImagerでimage書き込み後にcmdline.txtから"init=/usr/lib/raspi-config/init_resize.sh"を削除することで初回起動時にパーティションの自動拡張を止められたようですが、記事執筆時点(2023.05.14)では出来ませんでした。
ということでmicroSDカードを2枚使い「imageを作って別のマシンで圧縮して保存する」より一手間少なく済ませました。
USB On-The-Go(OTG)設定
USB On-The-Go(OTG)
接続したデバイス(WindowsPC)側からラズパイをUSBストレージとして認識させるには起動時OTG設定が必要になります。以下、WikiPediaより
USB On-The-Go(略してUSB OTG)は、USB機器どうしを直接接続するインタフェース規格である。パソコン等をホストとせずに、動作時にホスト機器を動的に切り替える機能を拡張したもの。 IEEE 1394のように直接接続できるので、いろいろな機器に応用できる。2001年12月18日に発行されたUSB OTG 2.0 Revision 1.0 は High Speed (480Mbps) がオプション扱いとなっていたが[1]、2009年5月8日に発行された USB OTG 2.0 Revision 2.0 では High Speed を含み[2]、2011年7月1日に発行された USB OTG 3.0 では SuperSpeed (5Gbps) を含む。
/boot/config.txt
ラズパイのOTGを有効にする為に、起動設定に以下の一行を追加します。
dtoverlay=dwc2
USB mass strage設定
/boot/cmdline.txt
g_mass_storageを使ってストレージ起動するのに以下を起動設定に追加します。
modules-load=dwc2,g_mass_strage
exfat-fuseインストール
exfatをUSBメモリのフォーマットとして使用するためにexfat-fuseをインストールします。
$ sudo apt install exfat-fuse
パーティション設定
microSDカードの空き領域にUSBストレージとして利用する領域を確保します。
初回起動直後のパーティションの状態は以下のようになっています。
16GBのSDカードのimageがそのまま書き込まれています。
$ sudo parted /dev/mmcblk0
GNU Parted 3.4
Using /dev/mmcblk0
Welcome to GNU Parted! Type 'help' to view a list of commands.
(parted) p
Model: SD EB1QT (sd/mmc)
Disk /dev/mmcblk0: 32.0GB
Sector size (logical/physical): 512B/512B
Partition Table: msdos
Disk Flags:
Number Start End Size Type File system Flags
1 4194kB 273MB 268MB primary fat32 lba
2 273MB 15.9GB 15.7GB primary ext4
15.9GB以降の空き領域にUSBストレージ用のボリュームを作ります。
(parted) mkpart
primary partitionでWindowsファイル用にntfsで作ります。
Partition type? primary/extended? primary
File system type? [ext2]? fat32
ボリュームサイズは約1GBにします。
Start? 15.9GB
End? 16.9GB
(parted) p
Model: SD EB1QT (sd/mmc)
Disk /dev/mmcblk0: 32.0GB
Sector size (logical/physical): 512B/512B
Partition Table: msdos
Disk Flags:
Number Start End Size Type File system Flags
1 4194kB 273MB 268MB primary fat32 lba
2 273MB 15.9GB 15.7GB primary ext4
3 15.9GB 16.0GB 88.1MB primary ntfs lba
partedから抜けます。
(parted) q
Information: You may need to update /etc/fstab.
/etc/fstabを書き換えなさいと優しく怒られますが、fstabではコピーしたファイルのTZが上手く修正出来なかったので今回は別の方法でmountします。
blk03にUSBストレージ用の新しいボリュームができたことを確認します。
$ sudo fdisk -l
Device Boot Start End Sectors Size Id Type
/dev/mmcblk0p1 8192 532479 524288 256M c W95 FAT32 (LBA)
/dev/mmcblk0p2 532480 31116287 30583808 14.6G 83 Linux
/dev/mmcblk0p3 31117312 33007615 1890304 923M 7 HPFS/NTFS/exFAT
ボリュームタイプ変更
古い設備にUSB接続する予定があるのでFAT32に変換しておきます。
$ sudo mkfs.vfat -F 32 /dev/mmcblk0p3
ラズパイ側のmount point設定
Linuxのファイルシステム側のmount pointとして、user直下に/usbを作ってUSBストレージ用ボリュームをmountします。mount pointは意図してtmpfsに設定しますのでデータロスには注意が必要です。
tmpfs /home/user/usb tmpfs defaults,size=1024m,mode=0755 0 0
mountコマンドはcronの起動時設定に組み込みます。Windowsのtimestampが+09:00になってしまうのでマウント時にオフセット処理します。
@reboot sudo mount -otime_offset=540 /dev/mmcblk0p3 /home/user/usb
systemd設定
サービス化してmass starageを起動/停止します。
$ sudo nano /lib/systemd/system/usb_storage.service
[Unit]
Description = USB MASS Storage Service
After = local-fs.target
[Service]
ExecStart = /sbin/modprobe g_mass_storage file=/dev/mmcblk0p3 removable=y
ExecStop = /sbin/modprobe -r g_mass_storage
Type = oneshot
RemainAfterExit = true
[Install]
WantedBy = multi-user.target
サービスを起動時有効にします。
$ sudo systemctl enable usb_storage
動作確認
mass strageがUSBストレージとしてWindowsPCから認識できるか確認します。
OTG接続port
結論から言うとPi4BではUSB-c portと相手側の端末をUSBケーブルで接続します。
実は今回のメイン嵌りイベントはここでした。
2023.05.14時点でラズパイのどのUSB portでOTG接続できるかを公式のアナウンスで確認したところZeroに関するドキュメントしか確認することができませんでした。
この部分です。
Specification
802.11 b/g/n wireless LAN
Bluetooth 4.1
Bluetooth Low Energy (BLE)
1GHz, single-core CPU
512MB RAM
Mini HDMI port and micro USB On-The-Go (OTG) port
Micro USB power
HAT-compatible 40-pin header
Composite video and reset headers
CSI camera connector
micro USB On-The-Go (OTG) port Micro USB powerとあるので給電port以外のUSB portでOTGすると捉えましたが、残念ながらPi4BではUSB-c portを使う必要がありました。半日以上溶かしましたがこちらの記事のおかげでクリアすることができました。本当に感謝です。
mass strage起動
ここまでで自動起動設定が完成しているので一度電源を落とします。
$ sudo shutdown now
普段は給電に使うラズパイのUSB-cとWindowsPCのUSB portをケーブルでつなぎ再起動します。
しばらくするとWindows側でUSBデバイス認識の通知が出ててラズパイをUSBストレージ化出来たとこが確認できます。
ファイル転送
Windows上で立ち上がったexplorerでUSBドライブ上にサンプルテキストを作成するとラズパイのmount先でも確認できました。
~/usb $ ls -lah
合計 16K
drwxr-xr-x 3 root root 4.0K 1月 1 1970 .
drwxr-xr-x 6 user user 4.0K 5月 14 14:16 ..
drwxr-xr-x 2 root root 4.0K 5月 14 13:22 'System Volume Information'
-rwxr-xr-x 1 root root 4 5月 14 13:51 test1.txt
microSDカードのROM化設定
最後に連続使用を想定して、今まで同様microSDカードにROM化設定をします。
ROM化設定/解除/再設定用のscriptを/protectにまとめ、初期設定用のscript(protect_prov.sh)と一緒にuser directoryにコピーして実行します。
sudo chmod +u+x protect_prov.sh
./protect_prov.sh
それぞれのscriptは以下です。
ROM化設定用script
#!/bin/bash
test -d ./root-ro
if [ $? == 0 ]; then
sudo rm -r ./root-ro
echo "Elminated old root-ro"
else
echo "root-ro is not exist"
fi
sudo cp ~/protect/protect.sh /root
sudo cp ~/protect/protect /bin
sudo cp ~/protect/nonprotect /bin
sudo chmod u+x /root/protect.sh /bin/protect /bin/nonprotect
sudo chown root:root /root/protect.sh /bin/protect /bin/nonprotect
sudo sh /root/protect.sh
sudo rm *prov.sh
sudo rm -r ./protect
sudo reboot
#!/bin/bash
echo Installing all dependencies
apt-get install git subversion rsync gawk busybox bindfs -y
echo Disabling swap
dphys-swapfile swapoff
dphys-swapfile uninstall
update-rc.d dphys-swapfile disable
systemctl disable dphys-swapfile
echo Cloning repository
git clone https://github.com/josepsanzcamp/root-ro.git
echo Doing the setup
rsync -va root-ro/etc/initramfs-tools/* /etc/initramfs-tools/
mkinitramfs -o /boot/initrd.gz
echo initramfs initrd.gz >> /boot/config.txt
echo Restarting RPI
exit
ROM化解除用script
#!/bin/sh
if [ -e /mnt/boot-ro/config.txt ]; then
sudo mount -o remount,rw /dev/mmcblk0p1
sudo grep -v initramfs /mnt/boot-ro/config.txt >/tmp/config.txt
sudo cp /tmp/config.txt /mnt/boot-ro/config.txt
sudo reboot
else
echo Already write enabled
fi
ROM化再設定用script
#!/bin/sh
if [ -e /mnt/boot-ro/config.txt ]; then
echo Already write protected
else
sudo grep -v initramfs /boot/config.txt >/tmp/config.txt
sudo echo initramfs initrd.gz >> /tmp/config.txt
sudo cp /tmp/config.txt /boot/config.txt
sudo reboot
fi
2)
ラズパイを録画用HDDにエミュレートする
目次
OTG
OTGとは
USB On-The-Go(略してUSB OTG)は、USB機器どうしを直接接続するインタフェース規格である。パソコン等をホストとせずに、動作時にホスト機器を動的に切り替える機能を拡張したもの。 IEEE 1394のように直接接続できるので、いろいろな機器に応用できる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/USB_On-The-Go
OTGとはOn-The-Goの略であり、USBで接続された機器のホストを動的に切り替えることのできる機能である。ラズパイは基本的にホストとして動作するのだが、TVに接続した場合、TVをホスト(親)、ラズパイを子として動作させることができる。
OTGをサポートしてるUSBport
ラズパイのドキュメントには以下のようにある。
The USB host port inside the Pi is an On-The-Go (OTG) host as the application processor powering the Pi, BCM2835, was originally intended to be used in the mobile market: i.e. as the single USB port on a phone for connection to a PC, or to a single device. In essence, the OTG hardware is simpler than the equivalent hardware on a PC.
https://www.raspberrypi.org/documentation/hardware/raspberrypi/usb/README.md
ラズパイに電力を供給するUSBがOTGホスト、とある。Raspberr pi 4の電力供給用のUSBはUSB-Cである。なので、USB-CをOTGとして利用することができる。
OTGの設定
前置きはこの程度にして、早速ラズパイに設定をしていこう。
config.txtに追記
/bootディレクトのconfig.txtを編集。
以下の一文を最終行に追記。
cmdline.txtの編集
続いて、/bootディレクトリのcmdline.txtを編集する。
modules-load=dwc2,g_mass_strageの記載を追記し、dwc2とg_mass_storageのモジュールをロードするように設定。
g_mass_storage
続いて、仮想ストレージとなるイメージファイルを作成する。
上記のコマンドでof=で指定したファイルが作成される。ファイルサイズはbs × count。この場合100,000MB=100GB。少々時間がかかる。ちなみにファイルの拡張子は.isoでも.binでも.imgでもあるいは拡張子がなくてもいい。※少なくとも.imgと拡張子なしは動作確認した。
以下コマンドで作成したファイルをstorageとして設定する。
起動しているモジュールのリストを表示させる。
g_mass_storageとdwc2が表示されていれば良い。もし表示されていない場合、sudo rebootなどで再起動を試す。
TVに接続
ラズパイのUSB-CとテレビのUSBportなどを接続する。
するとTV側でHDDとして認識される。
録画用HDDとして登録するにはフォーマットします、という文言に対してちょっとビビりつつ登録する。(当然フォーマットされる対象は先ほど作成したイメージファイルなのだが)
適当に番組を録画してみるとなんの問題もなく録画することができた。
あとは、どこからでも録画した番組が視聴できたらいいなあ。
参考サイト
- https://linux-sunxi.org/USB_Gadget/Mass_storage
- qiita:大画面テレビの録画用HDDの代わりにRasberry Pi4のUSB OTG機能を生かしてUSBtoLAN(NAS)なストレージゲートウェイを構成する https://qiita.com/kthrtty/items/7243d59bb418de50f732
- Very simple OTG on pi4
- https://gist.github.com/gbaman/50b6cca61dd1c3f88f41
- http://ww1.microchip.com/downloads/en/Appnotes/AN_3326-How-to-use-SAMA5D2-USB-Mass-Storage-Gadget-Under-Linux-00003326a.pdf
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